来廊御礼   

本日は岡村隆久展にお越しいただきありがとうございます。
案内状にも記していますが、「いい絵とはなんですか」と聞かれて
「ご自分が見ていい絵だと思う絵です」と答えた。
感じるままに
楽しんでもらえたらうれしい。「お〜い、いい絵を描いている
か?」と見に来て下さい。と書きました。
あらためて「いい絵
とは」と言われると困りますが、「いい絵でないとだめだ」
は私の常套句です。うまい絵も、きれ
いな絵も、高く売れる
絵も、みんなだめ。素直に、媚もなく、化粧のための化粧も
ない、そんな絵がいいのだ。あとは、
私が皆さんの絵を見て
判断するしかないですね。「ああ、いい絵を描いていますね」
といわせて下さい。

 それで、大変なのが自分の画。自分自身を客観的に判断する
のが非常に難しい。私には描く作業が日常です。いくつ
かの画
を壁にかけ、床に置き、次にどの色を入れようか、次にどんな
線を入れようか、次にどこを消そうかと、悩み考
え、それこそ
何日目かに、いい感じになってきたと自分なりに納得して、今
がいいと思い込んで、別のところになおし
てある前の絵を出し
てきて、今の絵と前の絵をならべてみる。「前の絵の方がいい
のではないか」と、迷い、悩み自分自
身が確定できない、なん
ていつものこと。迷わずに確定的に考えられる人などいるのか
な、自信があるなんて本当なの
かな、そんなに自分が信じられ
るのかなとも思うが、ま、人は人ですかね。

 絵を描き終わって、額装という時、「おお、ぴったり、よく
あっている」で、絵を外に出せるが、最近どうもそううま
くは
いかない。昔の装飾が付いている油絵の額縁ではしっくり合わ
ない。今回いくつかの解決策を考えた。その策を用
いると、額
装という技術的な面だけではなく、日々の絵画生活が停滞な
くスムーズに運ぶ。キャンバスの上にキャンバ
スを貼るのだが、
一種のコラージュ技法かな。最初は、糊がうまくつくか、不細
工にならないか、と恐る恐る挑戦した
が、慣れてみると、この
技法はいける、素晴らしい。何かデカイ物を解決したという感じ。
額がなくてもいいし、簡単
な額もつかえる。本来は、四角い画
面に色を入れて絵はできるが、その四角の中に別の空間をつ
くって、四角の中の四
角がお互いに助け合い、リズムとハーモ
ニーを刻むのかな。自分自身の中にもう一つの自分を置いてい
る感じ。

 四十代に、一メートル四方の四角を十も二十も集めて一つの
絵を描いて、並べるときはそれぞれ隙間を充分に取って
展示し
た。これも一つの方法だった。ま、今回、納得できる絵が何点
か描けて満足しています。

ph by NAKANISHI

展覧会の真っ最中、金曜日にパ−ティ
をしようとしていた。夜帰って知った。
東北がすごい事になっていた。