2014
 
 熊野本宮大社と 吉野を結ぶ山道 古代より 修験道の道 
道と言ってもほとんど山の中の道其処を何日もかけて歩く 
仙人といわれた 役小角(えんのおずの)が 開いた いわれる

峯の字が正解 峰でも嶺でもない 駈の字が正解 駆ではない
この道は ほとんどが奈良県内 和歌山県は ほんの一部 熊野本宮大社あたりだけだった
7日間かけて歩いた  体力が減ってきている 
20キロ以上のザックを担いで歩けるだろうか  一日10時間以上の行動ができるだろうか
水が少ないと聞く  出かける前は 不安だった  同道は きぬさん

 
 
 一日目<二蔵宿小屋>7時間行動
背に60リッターのバックパック 腹にウエストポーチ
家を出て始発の電車に乗った
茨木駅から 吉野駅に 着いた
吉野の街 みやげもの屋 雨が降る
雨具の上下 汗と雨で 服が濡れる 靴に水が入ってくる
あんのじょう あとの6日間 靴の臭い 不快感に悩まされた
後醍醐天皇 千本桜 西行 知っている名前が出てくる
千年ぐらい前の 立派な寺社が続く  
南北朝時代の南朝の地だ

 
 
 暗くなりかけた頃に 二蔵宿小屋に着いた
小さい小屋 まさか鍵はかかっていないよね すっと開いた
だれもいない ストーブがある 毛布が置いてある
あとからひとり またひとり と4人だけだった
彼らとは最後まで 追いつ追われつした

 
 
二日目<行者還小屋>15時間行動
3時起床 生涯で一番の早起き 
夜中に強い 今は上がりかけている
4時過ぎ出発 暗闇の中をライトを点けて林道を歩く 5時には明るく
林道にしゃがみ込んで朝飯 駅で買った弁当
五番関から “大峯奥駈道”“女人結界門”をくぐる

 
 
 “山上ヶ岳” 12時半“小笹の宿”「あ、此処は来たことがあるような・・」幽かに思った
穏やかな大地 雪が相当残っている 川が流れている
重いバックパック 岩場・ガレ場の下りは恐い
「山は女の神様 女が登ると女神様が 女に対して嫉妬する なので女は来てはいけない」
生涯で最高の行動時間 宿に着く2時間3時間前から疲れ切ってよれよれになっていた 
こんな時に危険な下りが続く
「しっかりしなよ こんなところで足を踏み外したり、転んだりしたら・・」言い聞かせて歩いた

 
 
 三日目<楊子の宿>10時間行動
「下痢だ おならをすると うんこが出る」
「家ならいいが 仕事場なら大変 パンツなしで 一日中 仕事」
これには笑った オレだって・・
「オレなら 黙っているね よくある事だ 毎日 のんでりゃ」
ただ今 キジウチ

 
 
 きつい登り 弥山を超え 12時に八経ヶ岳(はっきょう)
雪がこんなに 残っているとは 装備は無い 靴が濡れる
荷が肩に食い込む 雪を舐めた
汚く積もった 雪の上を ストックで削ると 真っ白な雪が 表れる
雪を つまんで 口に入れる 旨い
トラバースが大崩れ 崖崩れ どんどん侵食している「やばい」

 
 
 四日目<持教の宿>12時間
8時半 釈迦ヶ岳に着いた ここには でっかい仏像がある
力持ちが 担いで 上がった
ここで キヌちゃん法楽「ガチャガチャ ソワカ・・」

 
 
 10時<深仙の宿>に着いた 深い山の中 
御堂が建っている
ここでも キヌちゃん法楽「ガチャガチャ ソワカ・・」
陽が当たる、遠くの山々が見える、近くに岩が見える
水を汲みながら「水は 寒いので たくさん いらないや 雪もあるし・・」
この判断が甘かった、此処から先は雪が無く、晴れ ポカポカ陽気が 戻ってきた
「もう少し水を汲めばよかった」カラカラの喉、惜しみながら 水を飲んだ。
小屋の管理を ボランティアで やっているとおっしゃる 穏やかな 好々爺 同年輩か
早速 下の流れまで 水汲み ごくごく飲んだ
「この川の水は、もうひとつだ・・」
食事は相変わらず、ラーメンとライスなり

 
 
 五日目<行仙宿小屋>7時間行動
13時 小屋着 今日は休息日 半日コース
何人かの男 ボランティアの おじさん連
「やあ、お疲れさん、我々今から登山道の補修に行きます、紅茶が入ってます」
「行仙岳の登り道は崩れていたかな?」

 
 
 「早速で悪いが水を汲んできてくれますか」
大きなタンクを背負い 下った はしごを降りた
「まだか・・」「遠いな・・」しめ縄に紙垂(しで)
奥の洞から水が湧いている きれいな水 旨い
小屋の管理 道の整備をしている ボランティアの人たち
「今日は たまたま ここに泊まった人たちに ビールと 天ぷらを 振舞ます」
旨い

 
 
 六日目<玉置神社 6500円也>
3時起床4時出発 ライトを点け暗闇の中 おっとりゆっくり歩く 
4
時半頃 東の空がぼうっと 山や木が朧げに見えてくる 
「ぼ〜・・ぼ〜・・」 野鳩か ひょっとしてフクロウ 
野生フクロウでもミミズクでも 見たいな みたことないな

 
 
 “証誠無漏岳(しょうじょうむろう)”1300メートル“笠捨山”1352メートルと山の高さが低くなる  
暖かい 新緑の世界 花満開の世界 街が人家が見え 林道が見え 乗用車が見える 
「これはつまらないねえ」と独り言を吐きつつ林道横の登山道を歩く 
ここは奈良県十津川村 3年前の大雨 明治維新前の志士 山の村 木の村 
「あ、お神酒が置いてある」 かわらけ(素焼き)ならぬ白い皿 
一杯ゴクリ 並々入れて「これでは口で迎えに行かなくては」とゴクリ 
「お布施を多めに出したからいただき」とまたゴクリ 五杯六杯と重ねた 
本堂で拝礼「最初に鈴・・」ガンガン思い切って鳴らした、「二礼は軽く、最後は深く・・」二礼二拍一礼


 
 
 七日目<最終日>10時間行動
いよいよ最終日 目的地の熊野本宮大社に参り
17時発の最終バスに乗れば 今宵はおのが布団だ
暗闇の中 ライトを点け出発 
宿が取れなかった人たちが テントをたたんでいた 
アップダウンが続く
昨日の飯は上手かった お神酒が腹にしみた
久しぶりの風呂 小さい風呂桶 金玉 フ〜ラフラ
神社の弁当 めはりすしが旨い
最後に川を ジャブジャブ 
渡りたかったが 今日は水が多い

 
 
JR紀伊田辺駅で 酒・ワイン・魚・あてを仕入れて特急列車“くろしお号”の乗客となった
飲んだ 食った 旨い 大阪に着いても一軒 酔った
まだまだ 荷は重い 遅くに家に着いた
これで大峯奥駈道は終わった


 
 
 木の精霊
昨日も今日も明日も
いつも  ずうっと いる