北小松 2024年3月11日 
 
 
 カップヌードルに湯を入れおにぎりを食べた。近所のスーパーで買ったおにぎり、美味しそうだが食べにくい、
アウトドアーではコンビニの定番おにぎりがいい、食べやすく味もいいような気がした。
 
 
 暑い、汗が出る、地面は雪だ、ここまではいつものペース、いつものように釈迦岳を超えて比良駅から帰るつもり。
いつもは杖がわりのピッケルが、今日は大いに活躍した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 9時:北小松駅でスパッツを着け出発。登山客はだれもいない。快晴だ、いい感じに晴れている、
しかも暖かい、防寒具をしまいセーターでじゅうぶん。昨日は大阪でも寒かった。車窓から見ると、
比良の山脈には白いものが連なっている、まだまだ雪が残っていたのか、それとも昨日降ったのか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 さあ、ボトムだ、鞍部から登りだすぞ、雪が深くなってきて潜る、エイコラ、クソオ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 雪の中、暖かくセーターだけ、お陽さんがキラキラ、雪の反射で顔が焼けそうだ。琵琶湖がかすんで見える、
まわりの山々もかすんでいる、真っ白い雪に背の低いヒョロヒョロの樹が一本二本と立っている。
 
 
 なんと前に人がいる、悪戦苦闘している。「ああ もうだめだ ぼちぼち 引き返す まだまだ遠い 
今日は 無理だ」オレと同じジジイの単独である。年を聞くと、「もうすぐ 85だ よくここまで 登れた 
もんだ」「えええ 85歳ですか オレなんか まだまだ 若造 なんとか上まで 行きます」すごい爺さんに会った。
 
 
 
 
 
 このあたりから時間が気になりだした。「釈迦岳を2時半に通過すれば・・」「ヤケオ山を 1時半に通過すれば」
「なんとか 釈迦岳まで登り切って 琵琶湖の方に 下りたい」ただ雪は深い、一歩一歩に時間がかかる、
ボコり足が雪に嵌まる、急斜面ではラッセル気味になってきた、ピッケルを突き立て膝をついてエンヤコラ。
踏み跡はあるが今日のモノではない、エンヤコラ、それ行け、やれ行け、である。
 
 
 
 
 
 深い雪、時間がかかる、進まない、雪のない季節なら釈迦岳まで30もあれば行ける距離、
「こらあアカン タイムオーバー 引き返すか」ということでゆっくり来た道を帰り始めた。
 
 
 下りながら何度も雪を口に含んだ。こんなことも長らくやってなかったが、
氷のかけらのような雪がシャリシャリ口の中で融けて美味い。
 
 
アトリエ定点風景 絵も エンヤコラ だ 
 
歩きながらふと考えた。オレは何が好きなんだ、なんでしんどい山を楽しんでいるのだ。そうだね、
頂上を極めたいわけでもなし、名山を踏破したいわけでもなし。ただ歩いているのがいい、空気を吸って
空を見て地面を見て歩いているのがいい。欲も得もない、腹が減ったら何かを喰い、喉が渇けば水を飲み、
時々上を見て、下を見て歩くことができたらいい。それでも景色はいいに限るね、自然がたっぷりあって、
人も少なく、そんな斜面を、自然道をモクモク歩くのがいいね、ただ歩くだけでいいのだ。