前鬼2 2021年3月29・30日 
 
 
 クリカラ岩・ふたご岩、
 
 
ここらあたりのスギやヒノキ、風か雪か、ねじ曲がり嬉しくなるような姿で迎えてくれる。 
 
 
 頑丈な木で造られた階段がたくさんある。世界遺産のために作ったのか、
前にはここまでたくさんの階段は無かったような記憶。“ひーひー はあーはー”
急斜面を登っていく。かつて、しんどい山だという記憶がない、
ジジイになってきているのだと実感。ロープが、くさりが、谷が崩れているところが・・、
なかなか手ごわい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 まもなく乗越、尾根道だ、あと少しだ、と思いながらもなかなかに手ごわい。いつも言うことは、
「な〜にも考えず ぼ〜っとして 地面を見て 一歩いっぽ これが楽しい のだ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 太古の辻、ここは標高が1500M。釈迦ヶ岳まであと300M登る、コースタイムで1時間40分、
「ま 無理せず 行けるところまで で 帰りましょう」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 大きな岩の真ん中に穴が開いて、向こうが見える。自然にできたのか、人が掘ったのか・・
あそこまで行くのが、命がけだ・・。修験道のオヤジ連が、嬉しそうに怒鳴る姿が見える。
「軟弱な おまえら あの穴をくぐって来い 汚いおまえらの 
精神が 過去が 洗い清められ 生まれ変るぞ」
 
 
 
 
 
 建物が見えた、「おお 深仙の宿 がはは 知ってる 通った ここは 昼頃にやって来て 
休憩をした  ところだ」小さい祠を見たとたんに、当時の記憶が浮かんできた。
「釈迦ヶ岳から降りて この祠を見たんだ」
 
 
 ふかき山に すみける月を 見ざりせば 思い出もなき 我が身ならまし 
<西行:おおみねの神仙と申す所にて月をみてよみける>西行さん来てるんだね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
危険なところが2か所あった。「そんなもん・・」と皆さん笑われるが、
高所恐怖症の山好きの言葉として聞いてたもれ。「今は 水は流れていないが 鉄砲水で岩が崩れ 
足の踏み場がない そんなところを U字に進む 持つところがない むむヤバイ」
「もうひとつは 下が崖 向こうまで 足が届かない ナムナム なんと 針金があったが 
切れている 掴むものがあれば 平気なんだが・・」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
11時に“太古の辻”にやってきた。6年前、吉野から熊野神社まで縦走した。ここは何時頃に通過したのかな。
大嶺奥駆道を七日間かけて歩いた、食料に水に、シラフ・・重い荷を背負って歩いた。
一年ぐらい前から衣川さんが、「奥駆 絶対 行こう」という。67歳のオレ、「重い荷を背負って 
七日間も・・無理かな・・」「大丈夫」「大丈夫かな・・」「食料は 軽いもの 
インスタントラーメンを20食・・」「え ラーメンだけ・・?」「水は 4リットル」
「ガスボンベも 数を減らして」出発は5月中旬だったかな、始発電車、
梅田駅で合流し吉野駅に着いたのがまだ朝だった。毎日、5時ころ起きだして歩き始めた。
夜はライトをつけて小屋までたどり着いた。ライトをつけて真っ暗の中を歩いた朝もあった。
初日に雨に降られ、靴の中まで濡れた、濡れた靴の不快感が七日間続いたのにはまいったね、
と今になっては笑い話。